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人権理事会諮問委員会で「平和的生存権」を!!


ジュネーブに行ってきました。

笹本弁護士から、国連人権理事会諮問委員会の報告をいただきましたので、最後に張り付けました。
笹本さんたち日本からの発言者が、諮問委員会で、平和的生存権の、「加害者にならない権利」を積極的に訴えられたこと、
また前日のプレ会議で、安全な環境への権利、という項目にからめ、福島原発のこと、軍縮への権利という項目にからめ、基地の廃棄を提起されていました。

諮問委員会開催翌日、国連の会議室を借りて、日本の主催でサイドイベントがありました。
日本からの参加者は全員発言することになっていたので、私はVAWWRACのメンバーとして「慰安婦」問題について、一言、二言発言させていただきました。
(つたない英語で、とも発言と言えた代物ではないのですが)

参加者の人数は多くはなかったのですが、参加された方から「名古屋宣言」が出された経緯についてご質問がありました。

笹本さんがお答えになっていましたが、私も補足としてイラク派兵違憲訴訟が、全国11の地裁で提訴されていたこと。

名古屋と岡山で平和的生存権の具体的権利性が認められたこと。

とくに名古屋では、自衛隊が派兵されたイラクは「戦闘状態」にあり、それゆえ自衛隊派兵が、戦後かつてないほど深刻な憲法9条違反であったかを事実認定したこと、を話させていただきました。

イベントにはスペインからのお二人、(来日されたお二人ですが)や、コスタリカの弁護士も主催者としていらしたので、英語オンリー。私は英語ができませんので、日本語で話しました。

最後、簡単な英語で「加害者にならない権利」がなぜ重要かを伝えてきました。

Not only we do not want to be killed, but also we do not want to kill anyone.

Because we have humanity .

Because we are human.


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大切なことは、憲法9条が実質的に改悪されている日本の状況で、いかに「法」が実効力をもつことができるか、ということかと思います。

今回の宣言採択には、「監視機構」が必要だ、と明記されるようで、これは大変重要な成果だと思いました。

アメリカは「平和の権利」は国連安保理で取り上げられるべきで、人権理事会が取り上げるべきではないと発言を続けてきとのことです。
今回は発言しなかったようです。

国連安保理が、いかなるものかは、私たちは熟知しています。

ですので、平和の権利が安保理の専任事項だなんて、とんでもありません。

この「平和への権利」宣言が、監視機構の設置を伴い、人権理事会から、国連総会へと持ち込まれ、最後的に安全保障理事会は、この宣言に従わなければならない、というゴールにたどりつくことを、私は心から望んでいます。

人が従うのは、いかなる権威でも軍事力でも、経済力でもなく、多様性と生存の尊厳を守るための「法」にこそあるべきでしょう。

i以下、ご報告をお読みいただければ幸いです。


(以上は、イラク派兵違憲訴訟全国MLにがなした私のメールを転載したものです。)




ジュネーブ諮問委員会(2012年2月20日~24日)参加の報告

(テーマ)
1. 2月20日諮問委員会第8会期の議論
2. 2月19日NGOと諮問委員の協議会
3. 2月21日サイドイベント
4. 日本政府代表部訪問(日弁連として)
5. 今後の運動について、その他の情報

(報告内容)
1. 2月20日諮問委員会の議論
 今回の第8会期の諮問委員会の審議の対象は、昨年12月に発表された第2次草案です。今回の諮問委員会の審議を経て、諮問委員会の草案が確定され、それを6月の第20会期の人権理事会に提出されます。

 審議は、発言国は、キューバ、チュニジア、ウルグアイ、コスタリカ、スペイン、パキスタン、アルゼンチン、ロシアでした。NGOからは、スペイン国際人権法協会、平和構築、南アメリカ・インド協議会、そして日本の日弁連、国際人権問題委員会、私たち国際民主法律家協会でした。

前回(2011年8月)の諮問委員会と違って、発言国はすべて国際法典化に賛成することを前提の発言でした。発展の権利、難民の権利、先住民の権利、作業部会の設置、などに対する意見が続きました。

今回は、アメリカが草案に対する反対意見を発言しなかったのが最大の特徴です。
またEUの反対意見もありませんでした。
これにはNGOとコスタリカ政府の働きかけのせいもあったそうです。

今月、コスタリカで平和への権利に対する会議が開かれた時に、スペイン国際人権法協会も参加し、コスタリカ政府に平和への権利の友好国として様々な国の政府に対して働きかけるよう要請したそうです。

また、スペインが賛成国に回り、EUが一枚岩で反対意見を述べられるような状況でなかったこともアメリカが発言しなかった原因になっているかもしれません。

NGOの発言の中では、日本からの3つの発言が多く、今回は日弁連も正式に参加し、東澤靖弁護士が、口頭発言をしました。日弁連の発言は、差別禁止原則、緊急時でも制限されない原則、国内実施の強化についてですが、事前に文書発言も提出していました。

前田先生の国際人権活動日本委員会は、平和的生存権の名古屋高裁判決と、ピースゾーンについて。
前回の諮問委員会で前田先生が発言されたピースゾーンを求める権利が今回の第2次草案で取り上げられたことなどに触れられました。
私は、IADL(国際民主法律家協会)として発言しました。

①平和的生存権の内容として、戦争行為に加担しない権利も取り上げられるべき。
日本とコスタリカでは平和への権利が確立し、裁判で救済を図れる権利になっている。

②外国軍事基地を廃止する権利は、軍拡競争を防ぐ意味でも取り上げられるべき。
ピースゾーンの一環としてでもいい。

③途上国で武器を製造する先進国の政策を軍縮の権利として取り上げられるべき、そのための監視機構も採用すべき、という内容でした。

コスタリカのロベルト弁護士と相談して日本とコスタリカの平和的生存権、平和への権利の裁判規範性を強調しました。

またIADLとして事前の文書発言も提出してあり、福島原発事故にからめて、放射能のない健康的な環境を受ける権利も提案しています。

 2月24日には、今回の諮問委員会とNGOの意見を受けて、決議が採択され6月の人権理事会に向けて、監視機構についてもはっきりと明記する方向で、最終草案が作られる予定です。

最終草案は4月2日までに事務局に提出されるそうです。塩川さんの報告では、日本のNGOの参加が諮問委員の議論にかなり影響を与えたとのことです。

2. 2月19日NGOと諮問委員の協議会
2月20日の諮問委員会の審議に先立つ19日に、ジョンノックスセンターで、第2回の諮問委員とNGOの協議会が開かれました。

この会議は、NGO主催の会議に、国連の諮問委員を招待して協議するもので、NGOの意見を国連の諮問委員会の草案に反映させるための非公式会議です。

JALISAは、スペイン国際人権法協会、世界協会評議会とともに3つの共催団体の一つでした。私の方から、歓迎のあいさつと、戦争に加担しない権利としての平和的生存権、外国軍事基地をなくす権利(あるいは外国軍事基地のない平和地域の権利)、放射能被害のない健康的な環境を受ける権利、を平和への権利宣言草案に取り込んでほしい、と発言しました。

 前回(2011年8月)の諮問委員会第7会期の時にも開催したので、2度目のNGO協議会でしたが、草案作成の責任者であるドイツのハインツさんが2回とも参加して、翌日の2月20日の諮問委員会の場でも、このNGO協議会のことも考慮に入れて草案を作成すると発言していました。

このようにジュネーヴの国連人権理事会は(ニューヨークの安全保障理事会と違って)NGOとの距離が近いのが特徴です。

3. 2月21日サイドイベント
諮問委員会の会期に行うNGOのサイドイベントは準備は十分出来ませんでしたが、今回諮問委員会に参加したJALISAの参加者が全員発言しました。

事前に発言原稿を書いてもらい、環境問題や慰安婦問題、原発問題など各人の取り組んでいるテーマに即した発表でした。

4. 日本政府代表部訪問(日弁連として)
2月20日には、日弁連の一員として、日本政府ジュネーヴ代表部に訪問しました。

平和への権利については、権利の内容が不明確なことや集団的権利となっていることなどの説明を、二等書記官から受けました。

ただ、ジュネーヴでのすべての決議は、日本の外務省本部と協議の上、内容が決められているとのことでした。また、スペイン政府が反対から賛成に変化したことについては、興味をもって聞いていました。

今後、外務省で継続的にパイプをもっていきたいと思いますが、その出発点にはなったかと思います。



5. 今後の予定、その他について

・プヤナ氏との打ち合わせでは、スペインで政府の態度が賛成に変わった原因として、スペイン国会で2011年9月に全政党一致の促進決議が採択されたことが大きかったとのことですが、この平和への権利・国際キャンペーンが始まってから3年間もの間、スペイン国際人権法協会が国会議員に働きかけてきたことの成果だったとのことです。

・IADLの参加状況:今回は、IADLとして、私たちJALISAの他に、ジュネーヴに本拠地があるマリクとコスタリカのロベルト・サモラ弁護士も参加しまた。

特に、ロベルトは、旺盛に諮問委員会の議論に参加し、平和への権利の他に、食料の権利などの発言をIADLとして行いました。

・6月の人権理事会では、再び、NGO協議会とサイドイベントなども含めた取り組みにしていく予定であることが打ち合わされました。

人権理事会の場になると、採決に向けて政治的な駆け引きの場面も多くなってくることが予想されます。日本の国内で、国会や外務省に働きかけていくことが重要となってきます。

・5月14日には、NGOと理事国との間の協議会が開かれますが、これはかなり限定されたメンバーでの打ち合わせになるとのことです。


・起草委員の報告者であるドイツのハインツさんが、今後夏か秋に向けて来日する方向で話が進んでいます。



主たる民びとが、世界のあちらこちらから、未来の扉を開くことを祈りながら

by mitsuya_apple0909 | 2012-02-28 04:01 | 政治  

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