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韓国憲法裁判所判決 元慰安婦らの個人請求権放置は違憲

1 韓国憲法裁判所の判決
2011年8月30日、韓国憲法裁判所は、「元慰安婦らの個人請求権放置は違憲」という画期的な判決を下した。
 
 「韓国の憲法裁判所は30日、戦時中の日本軍元慰安婦らが日本政府に損害賠償を求める個人の請求権問題について、韓国政府が日本と外交交渉しないのは「被害者らの基本的人権を侵害し、憲法違反にあたる」とする初の決定を出した。」
ニュースソース
(http://www.asahi.com/international/update/0830/TKY201108300493.html)
アジア女性資料センターは、この判決に関して以下のような記事を書いている。
「日本の政府・裁判所は、1965年の日韓請求権協定を盾に、個人請求権を否定してきましたが、同協定3条は、両国で紛争が起きた場合、外交的努力と仲裁によって解決することとしています。日本軍「慰安婦」制度被害者や原爆被害者ら約2400人は、韓国政府は解決努力を怠り、被害者の基本的人権を侵害しているとして、憲法裁判所に違憲審査を申し立てていました。
この判断を受け、韓国挺身隊問題対策協議会が発表した「公開書簡」は以下の通りです。」
http://ajwrc.org/jp/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=665(アジア女性資料センターブログ)

2韓国憲法裁判所への提訴の経過
元日本軍「慰安婦」だった故金学順さんが被害を訴えて名乗り出てから、20年経過した。
日本政府は1993年8月4日、加害事実と軍の関与を認めた河野談話を出したにも関わらず、未だに国家による実質的謝罪、賠償と教科書への記述を拒絶し続けている。日本政府による賠償、謝罪と名誉、尊厳の回復を訴え、被害者たちは日本の司法に訴訟を起こした。裁判所は元「慰安婦」たちの被害事実を部分的に認定するのみで、賠償請求は釜山元「慰安婦」・女子勤労挺身隊裁判を除き全て棄却された。主たる理由のひとつは、1965年の日韓請求権協定で日本国家による被害者個人への賠償責任は消滅した、というものである。
しかし、2005年公開された韓日協定文書のどこにも、軍隊慰安婦問題が言及されていないことが明らかになった。言及されていなかった被害に対しては、個人請求権が認められるべきであり、韓国政府は、日本政府に対してこの請求権問題解決のための外交的手段を講ずる法的義務がある。韓国政府が外交努力をしないのは、被害者に対する「権利侵害」にあたる、として、韓国憲法裁判所に対し、違憲審査を申立てたのである。

※「国務総理主催民官共同委員会は、韓日協定締結時議論にさえならなかった日本軍`慰安婦'問題など、「国家権力が関与した反人道的不法行為」に対しては、相変らず日本政府に法的責任が残っていることを明らかにした。韓国政府もこれに対して日本政府の責任ある解決を要求するという意志を発表したが、その語、何の具体的な行動もとられなかった。これに対して、 2006年7月5日日本軍`慰安婦'生存被害者109人(韓国内居住) は、憲法裁判所に「憲法第23条財産権」、「第10条人間の尊厳と価値および幸福追及権」、「第37条1項国家から外交的保護を受ける権利」についての憲法訴訟審判請求を起こした。」
※この裁判に対して出された戸塚悦朗氏の「意見書・(資料)」より要約引用。
http://repo.lib.ryukoku.ac.jp/jspui/handle/10519/768
憲法裁判所は2006年7月末から2年6ケ月もの間、審理を行なおうとしなかったが、2009年4月7日にようやく公開審理が開始された。
そして今年8月30日、「韓国政府が慰安婦問題解決のための外交努力を怠ることは、被害者に対する憲法上保障された権利侵害である」との画期的判決が出されたのである。

3)判決の意味 「条約の抗弁の無効化」
条約の抗弁は、日本の司法が軍「慰安婦」被害賠償を拒否する法的根拠であった。韓国憲法裁判所の判決がこの根拠に法的正当性がないことを判じた意味意義は、大変重い。
この判決が出されたことによって、もはや軍「慰安婦」問題解決の放置を「条約の抗弁」によって正当化することはできない。すべての補償問題は、サンフランシスコ平和条約および二国間条約によって解決済み、という従来の主張を繰り返すことは、もはや許されない。
韓国憲法裁判所に提出された戸塚悦朗氏の意見書は、条約の抗弁に根拠がない事を論証している。

第一に1992年6月1日、韓国の金溶植前外務部長官が「53年10月13日、第3回本会談席上、久保田貫一郎日本側の首席代表が『今後、日本側の不法行為の事実が明らかになる場合は、賠償をする』と公式に約束した」と証言している。日本政府の賠償責任は、政治的判断としても消滅していな事実が明らかにされた。(意見書末尾に、事実確認のための証拠文章が添付されている。)

第二に、日韓会談において韓国側から提出された「韓国の対日請求要綱」 (いわゆる八項目)に、すべての請求が含まれている、という前提を覆した。日韓協定2条で決められているのは、財産的価値を有する「実体的価値」とその権利保障だけである。(文書を検証した日弁連は)8項目の子細な検証の結果、軍「慰安婦」のような違法行為に関する問題は、含まれていないことを明らかにした。特に解釈上問題とされる、g. 「その他」について、戸塚氏は、「その他」が軍「慰安婦」被害に言及したものではないことを、判例を引用し、ejusdem generis"の原則(例示された言葉と同様に解釈する原則)を用いて論証している。
そして、このように結論づけている。
「日本政府の国連等における韓国人被害者に関わる「条約の抗弁」は、政治的なものであること、それを肯定して韓国人被害者の請求を退けた日本の裁判所の判決は、法的判断と言うより、政治的かつ空虚な判断であることが明らかになったと言えよう。」
「日本の司法府と行政府は、真実と法によって日本軍「慰安婦」問題を解決し、正義を実現することに失敗した。これを国会による立法という手法で解決すべき必要性がますます高まったのではないだろうか。」この意見書が判決に力を与えたことは、間違いないだろう。

判決では、「解釈の差異」と表現されている。以下、憲法裁判所決定要旨・決定理由の要旨から抜粋する。
「この事件の協定第2条第1項の対日請求権に、日本軍慰安婦被害者の賠償請求権が含まれるのかどうかに関して、韓・日両国間に解釈の差異が存在し、それが上記協定第3条の「紛争」に該当するということは明らかなので、被請求人としてはこの事件の協定第3条による紛争解決の手続きにより、外交的経路を通じて解決し、そういう解決努力を使い尽くした場合、これを仲裁に回さなければならないことが原則といえる。」

「日本国によって広範囲に強行された反人道的犯罪行為に対し、日本軍慰安婦被害者らが日本に対し持つ賠償請求権は、憲法上保障される財産権だけでなく、その賠償請求権の実現は、無慈悲に持続的に侵害された人間としての尊厳と価値および身体の自由を事後的に回復するという意味を持つものであるから、その実現を遮るのは、憲法上財産権問題に限定されず、根源的である人間としての尊厳と価値の侵害と直接関連がある。したがって侵害される基本権はかなり重大だ。」
日本の司法,特に最高裁判所が、長年にわたる人事権の行使によって、法理よりも政治判断に従う機関と成り下がってしまった現実を見るとき、この韓国裁判所が示した法の精神は、あまりに尊い。

4判決を受けて

一)日本軍慰安婦問題解決のための国会議員の会・共同代表による記者会見

「国会議員の会共同代表」は日本政府に対して4項目の要求を掲げ、記者会見を行った。
以下、会見文を紹介する。

            (記者会見文)
「政府は日本軍慰安婦ハルモニたちに謝罪し、仲裁委員会を構想する等の外交的対策を早急に講じよ!」

 韓国の憲法裁判所は、政府が慰安婦問題解決のための具体的措置をとらないことで基本権が侵害されたとし、政府の不作為にたいし「違憲決定」を下した。
 慰安婦ハルモニたちが日本にたいして有する賠償請求権が「大韓民国と日本国との間の財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する協定」第2条第1項によって消滅したか否かに関する韓日両国間の解釈上の紛争について、韓日協定第3条が定めた手続きにもとづく解決を図らずにいる大韓民国政府の不作為は違憲であることを確認したものである。
 端的に言って、韓日請求権協定の紛争事案にたいして政府が外交的努力と仲裁を怠っているため、被害者たちの基本権が侵害されたということだ。
 加えて、憲法裁判所の今回の決定は政府の外交行為における不作為についての最初の違憲決定だという点で、その意味は非常に大きい。
 これまで「外交関係の梗塞」を憂慮して韓国政府の対処が消極的であったあいだに、20万名に達した慰安婦ハルモニたちは大部分が亡くなられ、存命しておられるのは69名の方々のみという状況において、国際司法裁判所に行っても大韓民国が敗訴するだろうという敗北主義的なまでの思考を韓国外交部が持っていることに驚愕する。婦女子を戦時に性奴隷化することは、ただ道徳的に欠落しているとの問題ではなく、国際法が規定している戦争犯罪である。
 よって私たち「慰安婦問題を解決するための国会議員の会」は以下の事項を韓日両国の政府と国会に促す。

1. 韓国政府と日本政府は慰安婦ハルモニたちの問題解決を疎かにしていたことに気づき、これにたいし痛切に謝罪せよ!

2. 日本政府と日本国会は日本軍慰安婦問題が必ず解決されねばならない課題であることを確認し、謝罪と保障についての立法的解決を早急に計画せよ!

3. 韓国政府は慰安婦ハルモニたちの問題解決のために韓日協定第3条が規定する手続きにもとづいて韓日間の仲裁委員会を迅速に構想する等、外交的対策を講じよ!

4. 日本軍慰安婦問題や原爆被害賠償問題、サハリン韓人問題などの歴史的問題を解決しうる特別委員会を国会内に構築しよう!

 私たち「慰安婦問題を解決するための国会議員の会」は、日本軍慰安婦被害者にたいする公式謝罪と法的責任を履行するための立法が日本政府により達成されるよう最善の努力を尽くすことを再度明確にする。

2011年9月1日

日本軍慰安婦問題解決のための国会議員の会 共同代表
金映宣(ハンナラ党)、 李美卿(民主党)、朴宣映(自由先進党)、郭貞淑(民主労働党)



二)戸塚悦朗氏による文書

日本では、戸塚悦朗氏から以下の文章が出されている。

「戦時性的強制」被害者、韓国憲法裁判所で勝訴 
戸塚悦朗【元龍谷大学法科大学院教授】

1.韓国憲法裁判所の決定要旨

日本軍「慰安婦」被害者多数が2006年に申立てた「大韓民国と日本国間の財産および請求権に関する問題の解決と経済協力に関する協定第3条不作為違憲確認」事件について、憲法裁判所は、2011年8月30日裁判官6(違憲)対3(却下)の意見で、請求人(被害者)が日本国に対し持つ日本軍「慰安婦」としての賠償請求権が「大韓民国と日本国間の財産および請求権に関する問題の解決と経済協力に関する協定」第2条第1項によって消滅したのかどうかに関して、両国間の解釈上の紛争を協定第3条が定めた手続により解決しない被請求人(韓国政府)の不作為は、違憲であることを確認するという決定を宣告した。

2.日韓外交関係大転換の契機

日本の最高裁判所は、「戦時性的強制」被害者の訴えをすべて退けた。日本政府は、1000回に及ぶ在韓国日本大使館前の被害者らによる「水曜デモ」を終始黙殺してきたため、世界的に注目され、「ギネスブック」に掲載された。国連・ILO・米欧議会など国際世論は、日本政府に対して被害者側が納得する解決を求め続けてきた。この間被害者は、常設仲裁裁判所の仲裁による解決を求めたことがあるが、日本政府は、「仲裁は任意である」として拒否した。

この問題の解決について日韓の外交当局が消極的な姿勢を維持し続けてきたことが問題をかえってこじらせてきたことは否定できない。だが、韓国政府が姿勢を転換し、国際仲裁による解決を求めた場合は、どうなるだろうか?国際仲裁による判断に従う責務は、国際法(日韓請求権協定3条)に基づく法的義務だから、日本政府は拒否することができない。憲法裁判所は、その実行を求めたのである。

今後、韓国政府の対日外交政策は、積極的に解決を求める方向に転換することは確実だ。日本政府も、日韓関係の再構築に向けて政策転換に迫られる。日本は、以下二つの選択肢を持っている。
①民主党が野党時代に何度も提出した戦時性的強制被害者問題に関する立法解決法案があり、これは被害者側から歓迎された。この法案を国会に上程するか、又はその内容を実現する韓国との国際協定を締結する方法がある。

②定3条による国際仲裁による解決を求める方法もある。


第3の道として、日本政府がどちらの道も選択せず、これまでの「被害者全員の死亡を待つ」という外務省主導の政策を継続することもあり得る。だが、絶望的なまでに非人間的な不作為政策の継続は、日本を滅ぼしかねない。

3.法的問題

日本軍「慰安婦」被害者の請求権は放棄されたのか?日本政府・外務省は、これまで「条約の抗弁」(日韓請求権協定で解決済み)を繰り返し、立法解決を拒んできた。詳細に研究してみると、日本外務省官僚の主張は、法的検証に耐えないずさんな「神話」に過ぎないことがわかった。筆者は、憲法裁判所に詳細な法的意見を提出した。今ではこれは、インターネットでダウンロードできる。
http://repo.lib.ryukoku.ac.jp/jspui/handle/10519/768
日本の人々は、「神話」を信じるのではなく、法的な論理と事実を直視して欲しい。



5野田新政権の課題と責任


韓国挺身隊問題対策協議会による論評
韓国挺身隊対策協議会は、日本政府の菅直人首相退陣後、その後任として選出された野田佳彦新首相に対して、以下のような論評を出している。

<論評>野田佳彦95代総理就任に対する挺対協の立場
菅前総理の辞任により、29日に日本の民衆党は選挙を行い野田佳彦財務相を新代表に選出した。そして、30日に野田民主党代表は95代総理大臣に就任した。

今回の野田総理の就任で、2009年の政権交代後、約2年間に3人の総理が交代したことになる。それほどこの間、日本の政治状況は混乱し思い通りの政策を実施できなかったことが伺える。

民主党は「2008年政策インデックス」に、「アジア等の女性に対する旧日本軍による『慰安婦』問題の解決を図るための『戦時性的強制被害者問題の解決の促進に関する法律案』を国会に提出しました。今後も取り組みを続けます」と明記した。政権交代直後、鳩山当時首相は「東アジア共同体」を掲げ韓国と中国に対し「過去を直視する勇気がある」と表明した。私たちはやっと日本政府が日本軍「慰安婦」問題解決に積極的に立ち上がることを期待し強力に立法運動を推進した。しかし、普天間基地問題をきちんと処理できず鳩山首相はあっけなく退陣した。
その後就任した菅首相は昨年韓国併合100年を迎え「総理談話」を発表し、日本の植民地支配に対し謝ると同時に遺骨返還支援などを約束したが、それは過去清算を求める私たちの立場から見るとき、あまりにも不十分なものだった。
それにもかかわらず、小さな希望を捨てず日本政府に対する要求を続けている中、東日本地震と福島原発事故が起こった。地震後、韓国にいる日本軍「慰安婦」被害者は、すぐに被災者へ送る募金を提案した。日本の侵略戦争によって人権を守れず大変な苦痛を経た日本軍「慰安婦」被害者は、誰よりも人間の痛みを理解していた。そのため私たちは、日本が一日も早く復旧し、日本軍「慰安婦」被害者が見せた被災者への広く暖かい気持ちを日本政府が少しでも学び、過去の歴史に対する責任を取ることを求めた。これは、日本が過去清算に立ち上がる絶好の機会でもあった。しかし、日本は教科書検定結果を発表することで、この機会を逃してしまった。日本軍「慰安婦」問題に関連した記述はすべての教科書から完全に消えてしまった。

これまでの日本政府の進展なき外交政策と野田佳彦新総理の歴史認識を見るとき、私たちは日本の新内閣の出帆を黙って見守ることはできない。野田新総理は、2005年に政府に提出した質問主意書で「『A級戦犯』と呼ばれた人たちは戦争犯罪人ではない。戦争犯罪人が合祀されていることを理由に内閣総理大臣の靖国神社参拝に反対する論理は破綻している」と主張した。また、外国人参政権問題や領土問題、集団的自衛権に対しても自民党を彷彿とさせる保守的な発言を続けてきたと知られている。

日本政府は、日本民衆がやり遂げた政権交代の意味と、政権交代に注目してきたアジア太平洋諸国の要求を忘れてはならないだろう。それはまさに、日本が二度と戦争の道へ向かわないよう過去の間違いを正すことである。

そのため私たちはあきらめず何度も要求する。日本政府は、日本軍「慰安婦」問題に対する国家責任認定と公式謝罪および法的賠償を実現するため、国会で特別法を制定し一日も早く問題を解決しなければならない。ひいては日本が過去に行ったすべての戦争犯罪を清算し、日韓両国の友好関係を構築しながら正しい未来を作っていかなければならない。

韓国挺身隊問題対策協議会
共同代表  ユン・ミヒャン ハン・グギョム


野田政権と民主党の公約履行義務

野田氏の首相就任直前の「質問書問題」は、旧植民地支配の犠牲になった周辺アジア諸国に、不安と懸念とを与えた。論評で言及されている「「戦犯」に対する認識と内閣総理大臣の靖国神社参拝に関する質問主意書」での「A級戦犯は戦争犯罪人ではない」という野田氏の主張の根拠はどのようなものか。
「サンフランシスコ講和条約第十一条とその後の国会決議、関係諸国の対応によって、A,B.C級犯罪の名誉は回復されている。そもそも、「平和に対する罪」「人道に対する罪」は事後的罪刑であって、法の不遡及や罪刑法定主義が保証されていない。法学的根拠がない以上、A級戦犯は、戦争犯罪人ではない」このように野田氏は「戦争犯罪」そのものを、はっきりと否定している。ここから、氏は日本国家が犯した「侵略戦争」という犯罪性は「解釈の問題」にすぎないのだと結論づけ、戦争犯罪人なるものは、日本には存在しない、と主張していたのである。
http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a163021.htm

野田氏をトップとした新内閣の外交政策に対して、韓国挺身隊問題対策協議会は、いち早く釘を刺したことになる。
日本軍「慰安婦」問題は、解決済みどころか、旧自民党政権は事実さえも否定し、当然の責務としての「記録」「教科書への記述」さえも激しく拒絶し、史実から被害事実を抹殺するため、暴力的、法逸脱的な、あらゆる手段を講じてきた。
日本軍「慰安婦」サバイバーと支援者は、民主党新政権に「立法解決」を期待したが、深い失望を味わう事になった。野田新政権は自民党以上に攻撃的な政策をもって、被害者と支援者に臨んでくるだろうという危機感を、私たちは共有している。2008年民主党インデックスでは、このように書かれている。
「アジア等の女性に対する旧日本軍による「慰安婦」問題の解決を図るための「戦時性的強制被害者問題の解決の促進に関する法律案」を国会に提出しました。その他にも、中国残留邦人に対する支援など、戦後処理問題は幅広く存在しており、今後も取り組みを続けます」
http://www1.dpj.or.jp/policy/manifesto/seisaku2009/index.html
2009年のインデックスでも、「戦後諸課題への取り組み」として「国会図書館に恒久平和調査局を設置する国立国会図書館法の改正、シベリア抑留者への未払い賃金問題、慰安婦問題等に引き続き取り組みます」と明記されている。
http://www1.dpj.or.jp/policy/manifesto/seisaku2009/indeml
野田新政権は、確実にこのインデックスを実行する責務がある。有権者が民主党に投票したのは、これらのインデックスを、確実に履行するだろうという信頼したからだ。不履行であれば、期待権侵害だけではない、信義側違反として政治的、道義的、法的義務を問われることになるだろう。


今年8月12日から韓国ソウル市内で行われた日本軍「慰安婦」問題解決のための第10回アジア連帯会議には、韓国、台湾、フィリピン、ドイツ、カナダ、アメリカ、日本、東ティモールから支援者が参加した。朝鮮半島市民および日本市民を始め、世界中の支援者とサバイバーたちは、政権が政治的責務を果たすかどうか、注視している。被害者と加害者とが生存しているうちに、必ず解決されなければならないのだ。「慰安婦問題解決のための決議」を可決した世界各国政府、国連、NGO団体も、「日本国家」が憲法前文に明記された「世界の平和を希求」する道を目指すかどうか、そしてその一歩として日本軍「慰安婦」問題解決に真摯に取り組むかを、厳しい視線で見ている。
民主党と新内閣は、「世界の視線」に対する自らたちの責務を、今こそ真剣に考えなければならない。

 
韓国憲法裁判所判決 元慰安婦らの個人請求権放置は違憲_d0171950_15301887.jpg




写真はイヨンスハルモニとともに女性人権博物館へ向かうバスにて・2011年8月14日撮影

by mitsuya_apple0909 | 2011-09-05 15:12 | 政治  

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